狭心症、心筋梗塞
1.狭心症・心筋梗塞とは
狭心症、心筋梗塞を総称して虚血性心疾患と呼びます。虚血とは、血が足りない状態ということです。心臓には『冠動脈』と呼ばれる血管が張り巡らされており、心臓は全身に血液を送る傍らこの血管を通じて自身にも血液を送り、酸素や栄養を受け取って動いています。
その冠動脈が狭くなったり(狭心症)閉塞してしまったり(心筋梗塞)して心臓に十分な血液が行き渡らくなったとき、心臓は酸欠(虚血)状態となり以下のようなさまざまなトラブルを生じます。
一般的には運動すると胸が締め付けられたり圧迫されるような症状がでます。胸でなく少し離れた肩や腕、首やあごのあたりに症状がでる方もおられます。しかし、無症候性心筋虚血といい、症状がなく健康だと思っている方の2〜3%程度の方には心臓への血行不良があることも最近はわかってきました。軽い違和感程度であったり無理をしないでいれば大丈夫な程度で見過ごされていることも多いものです。
恐ろしいことは病気が進行し心筋梗塞に至ってしまった場合、実に3割の方が命を落とすということです。現在心臓病は日本人の死因の第2位であり、約7人に1人が心臓病で命を落としています。
虚血性心疾患で命を落とす前に、虚血性心疾患の危険因子がある場合、虚血性心疾患を思わせるような症状がある場合、専門施設で早めの検査を受けられることをお勧めします。
虚血性心疾患の危険因子:あてはまるものはありますか?
- 加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
- 脂質異常症
高LDL(悪玉)コレステロール血症
高トリグリセリド(中性脂肪)血症
低HDL(善玉)コレステロール血症 - 高血圧症
- 糖尿病、耐糖能異常(境界型)
- メタボリック症候群
- 喫煙習慣
- 慢性腎臓病
- 精神的、肉体的ストレス
2.検査について
当院では患者様それぞれの症状やリスクに応じ、経験豊富な専門医が直接お話しを伺いそれぞれの方にふさわしい検査方法を専門医のアドバイスのもと選択頂けます。
■心電図、心エコー検査、運動負荷心電図
体に負担のない検査方法です。虚血性心疾患の検査としては基本となるものですが、これらでは虚血性心疾患の有無を7割程度の確率でしか判定できません。
<心電図室>
心電図(安静時、運動負荷)、 ホルター心電図、 超音波検査(頸動脈、心臓、腹部、 下肢血管など)、動脈硬化度検査、 24時間血圧検査、呼吸機能検査を 行います。 ホルター心電図は院内解析にて 不整脈専門医が読影します。
■マルチスライスCT
当院では最新式のマルチスライスCTを用いて冠動脈の撮影をすることが可能です。診断能力はカテーテル検査にわずかに劣りますが、直接心臓にカテーテルを挿入する必要がないため、入院の必要がなく外来で検査が可能であること、検査に伴うリスクが少なく安全性が高いことなど、メリットのとても大きい検査です。当院では来院当日に検査を施行させて頂くことができます。また検査結果は即日ご報告可能であり、速やかな治療方針の提示ができます。
<CT(最新型高速マルチスライスCTスキャナ)>
このCTスキャナは、超高精細画像での全身検査(頭部、 胸部、腹部、下肢)を低被爆にて行うことが可能です。
最先端の高速撮影技術にて動き続ける心臓も撮影すること ができるため、冠動脈の走行・狭窄を数秒間の撮影にて 評価することができます。
■カテーテル検査
医療用の細い管をカテーテルと呼びます。手首、肘、足など体の表面に近い部分を走っている動脈に局所麻酔を用いてカテーテルを挿入し、心臓まで直接カテーテルを送り込んで選択的に血管を造影します。
当院では1.3mm程度の細いカテーテルを用いて検査を行っております。CTの弱点である石灰化など動脈硬化の強い血管であっても確実な評価が可能であることに加え、当院では圧測定ワイヤなど特殊な道具を用いて狭窄している血管が『本当に心臓にとって問題となるほど悪いのか』、という機能的な評価も合わせて行うことができます。これによって『本当に必要な治療』を選択していくことが可能です。
<心臓カテーテル検査室>
心血管カテーテル治療専門医が、狭心症、心筋梗塞に対する心臓カテーテル検査・治療、下肢閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療を行います。
3.治療について
虚血性心疾患の治療の基本はお薬による治療ですが、虚血の程度が強い場合、虚血そのものをなくしてしまった方が症状が軽快し将来的なリスクも下げられることがわかっています。当院では20年以上の豊富な治療経験をもつ医師による『PCI治療』が可能です。
■PCI治療
カテーテルを用いて狭くなった血管に医療用の風船(バルーンカテーテル)を持ち込み拡張することで狭くなった血管を拡張します。バルーンカテーテル治療のみでは将来また血管が狭くなる再狭窄率、が高いことが報告されていますので、さらに血管を内側から支える金属ステントを留置し、血管が再狭窄しにくいように治療を行います。
バルーンカテーテル治療模式図
①ガイドワイヤー挿入 | |
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②バルーンカテーテル挿入 | |
③拡張中 | |
④拡張終了 | |
⑤バルーンカテーテル抜去 |
ステント治療模式図
冠動脈ステント
実際の治療の写真
PCI治療を行ってもお薬が必要でなくなるわけではありません。またPCI治療後に再び血管が狭くなることもありますので、治療後も定期的に検査を受けて頂く必要があります。
4.一次予防・二次予防について
虚血性心疾患はPCI治療であってもお薬による治療であっても、一度治療をしたらそれでおしまい、ということにはなりません。危険因子をよりよい状態にコントロールしていくこと、これからの動脈硬化の進行を少しでも緩やかにしていくこと、生涯を通じて付き合っていく必要があります。『危険因子が多いので病気にならないように積極的に管理する』ことを一次予防、『一度病気になってしまったが、再度同じ病気で苦しまないように積極的に治療する』ことを二次予防、と言います。当院では入院手術設備を備えた専門クリニックとして、経験豊富な専門医が生涯を通じてあなたの傍に寄り添い、適切な管理とアドバイス、治療環境を提供させて頂きます。
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